
「ケーブルやコンセントを製造・輸入・販売したいけど、PSE対象になるの?」と疑問に思っていませんか。
結論から言うと、延長コードやコンセント、各種コード類の多くは「特定電気用品」としてPSE対象になり、モバイルバッテリーやリチウムイオン電池(特定電気用品以外)とは異なり、登録検査機関による第三者検査が法律上必須という、より厳格な区分に該当します。
この記事では、ケーブル・コンセント類がPSE対象となる具体的な品目、菱形PSEに必要な手続き、事業者に課される義務まで、公的資料をもとに解説します。
- ケーブル・コンセントがPSE対象になる具体的な品目
- 菱形PSE(特定電気用品)が丸形PSEと違う点(登録検査機関の検査が必須)
- 事業者に課される義務と表示のルール
- サイズ・電流値によって対象外になるケース
- 海外工場との取引でありがちな勘違い
ケーブル・コンセントはPSE対象になる条件
電気用品安全法では、コンセントや延長コード、各種コード・ケーブル類の多くが「特定電気用品」(116品目のうちの一つ)に分類されています。特定電気用品には、菱形のPSEマークが必要です。
なお、テーブルタップや延長コードが「延長コードセット」として規制対象になったのは2012年1月13日の省令改正からです。それ以前から流通していた製品でも、現在新たに製造・輸入・販売する場合はこの規制の対象になります。
ケーブル・コンセントの対象となる具体的な品目

経済産業省の116品目一覧では、「配線器具」区分の中に、コンセントを含む次の品目が挙げられています。
| 品目 | 内容 |
| コンセント | 定格電流50A以下、極数5以下のもの |
| 延長コードセット | 同上 |
| マルチタップ | 同上 |
| アダプター | 同上 |
| コードリール | 同上 |
| 器具用差込みプラグ | 同上 |
また、「電線類」区分では、コード・ケーブルについても細かく品目が分かれています。
| 品目 | 内容 |
| ゴム絶縁電線・ケーブル | 導体の公称断面積が100mm²以下(ケーブルは22mm²以下・線心7本以下) |
| 各種ゴムコード | 単心・より合わせ・袋打ち・丸打ちなど |
| 合成樹脂絶縁電線・ケーブル | 導体の公称断面積が100mm²以下(ケーブルは22mm²以下・線心7本以下) |
| 各種ビニル・ポリエチレン・ポリオレフィンコード | 単心・より合わせ・袋打ち・丸打ちなど |
なお、ACアダプターやUSB充電器(AC接続タイプ)は、コンセント類とは別品目の「直流電源装置」(定格容量1kVA以下のもの)として、同じく特定電気用品に分類されます。
商品名だけで判断せず、上記の品目一覧と自社製品の仕様(電流・電圧・断面積など)を照らし合わせることが大切です。
PSE対象かどうかの基本的な調べ方については、以下の記事もあわせてご覧ください。

菱形PSE(特定電気用品)は登録検査機関の検査が必須

ここまで解説してきたモバイルバッテリーやリチウムイオン電池は「特定電気用品以外の電気用品」(丸形PSE)で、事業者自身による自主検査が原則でした。一方、ケーブル・コンセント類が該当する「特定電気用品」(菱形PSE)は、これとは義務の重さが異なります。
特定電気用品は、事業者自身による技術基準適合確認に加えて、国に登録された検査機関(登録検査機関)による検査を受けることが法律上義務付けられています。この点が、モバイルバッテリーやリチウムイオン電池との大きな違いです。
登録検査機関への検査依頼では、対象品目のサンプルや技術資料の提出が必要になり、検査完了までにも一定の時間がかかります。製造・輸入のスケジュールを組む際は、検査期間分の余裕を見込んでおくことをおすすめします。
ケーブル・コンセントの製造・輸入事業者に課される義務

ケーブル・コンセント類(特定電気用品)を製造・輸入する事業者には、以下の義務があります。
| 義務 | 内容 |
| 事業届出 | 事業開始から30日以内に届出(法3条・5条) |
| 技術基準への適合確認 | 対象品目ごとの技術基準に適合していることを確認(法8条1項) |
| 登録検査機関による検査 | 登録検査機関の検査を受け、適合性証明書の交付を受けること(法9条) |
| 検査記録の保存 | 検査記録を一定期間保存すること |
登録検査機関による検査は、モバイルバッテリーやリチウムイオン電池では不要でしたが、特定電気用品では必須である点に注意しましょう。
ケーブル・コンセントの表示すべき事項

特定電気用品には、菱形のPSEマークに加えて、届出事業者名、定格電圧・定格電流、その他品目ごとに定められた事項の表示が必要です。表示は本体や梱包の見やすい箇所に、容易に消えない方法で行います。
輸入品の場合、海外工場側で表示を行うケースもありますが、届出事業者名が正しく表示されているか、日本側でも必ず確認しましょう。
表示方法の詳細については、以下の記事もあわせてご覧ください。

ケーブル・コンセントのよくある勘違い|サイズや電流値で対象外になるケースを見落とす
ケーブルやコード類は、断面積や線心の本数によって対象・対象外が細かく分かれています。「同じような見た目のコードだから同じ扱いだろう」と思い込むと、実際には対象外の仕様だったり、逆に見落として無届出のまま販売してしまったりするリスクがあります。
特に中国メーカーから仕入れる場合、現地の仕様書だけでは断面積や線心数が明記されていないこともあるため、自社で仕様を確認したうえで、経済産業省の品目一覧と照らし合わせることが大切です。
もう一つ注意したいのが、「海外工場がPSEマーク済みの完成品を用意してくれるから安心」という思い込みです。

特定電気用品は、登録検査機関の検査を経て適合性証明書を取得したうえで、日本の届出事業者名などを正しく表示する必要があります。海外側の対応だけでは日本の要件を満たさないケースもあるため、必ず自社で内容を確認しましょう。
中国メーカーとのやり取りで注意したいポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。

ケーブル・コンセントで実際に起きた事故事例
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)には、延長コードやコンセントに関する事故が数多く報告されています。
日常のちょっとした使い方が事故につながっているケースが多く見られます。
事故事例①:延長コードのトラッキング現象による発火(2024年・千葉県)
延長コード付近から出火し、周辺を焼損する事故が発生しました。
延長コードの差込みプラグと壁コンセントとの間にほこり等が堆積し、トラッキング現象が生じて焼損したものと推定されています。
事故事例②:最大消費電力を超えた使用によるコンセントの発火(2022年・埼玉県)
コンセント及び周辺を焼損する火災が発生しました。
二口のコンセントに電気冷温風機(1200W)と、テーブルタップを介した電気こたつ(500W)・液晶テレビ(149W)を接続しており、コンセントに接続可能な最大電力(二口合計1500W)を超えて使用していたため、刃受け金具と栓刃の接触部で異常発熱したものと推定されています。
また、このコンセントは46年間使用されており、経年劣化も事故に影響したと考えられています。
事故事例③:電源プラグの変形による接触不良(2022年・神奈川県)
テーブルタップに電気製品を接続していたところ、テーブルタップを溶融する火災が発生しました。
接続されていたスポットエアコンの電源プラグの栓刃に変形が見られ、テーブルタップの刃受け金具と栓刃の間で接触不良が生じて異常発熱し、出火したものと推定されています。
ほこりの堆積、消費電力の超過、プラグの変形は、いずれも日常的に見落としやすいポイントです。定期的な清掃と、接続可能な電力の範囲内での使用を心がけましょう。
ケーブル・コンセントのPSEに関するよくある質問
ケーブル・コンセントのPSE対応について、よく寄せられる質問をまとめました。
- 延長コードとコンセント単体は、同じ手続きで対応できますか?
-
どちらも「特定電気用品」に分類される品目ですが、品目ごとに技術基準が定められています。登録検査機関への検査依頼時に、それぞれの品目・仕様を正確に伝える必要があります。
- ACアダプターもケーブル・コンセントと同じ扱いになりますか?
-
ACアダプターは「直流電源装置」という別品目ですが、同じく特定電気用品(菱形PSE)に分類されます。本体(コンセント側)とセットで販売する場合は、それぞれの品目について検査・表示が必要です。
- 登録検査機関はどこに依頼すればよいですか?
-
経済産業省のWebサイトに登録検査機関の一覧が掲載されています。品目に対応した検査機関を選んで依頼することになります。
- 海外工場からPSEマーク済みと案内された完成品を、そのまま日本で販売できますか?
-
案内された内容だけで判断するのはおすすめできません。登録検査機関の検査・適合性証明書の取得状況や、届出事業者名などの表示内容を、必ず自社で確認しましょう。
まとめ
ケーブルやコンセント、延長コードセットなどは、多くが「特定電気用品」としてPSE対象になり、モバイルバッテリーやリチウムイオン電池とは異なり、登録検査機関による検査が法律上必須です。断面積や電流値によって対象・対象外が細かく分かれているため、自社製品の仕様を正確に確認したうえで対応を進めましょう。
なお、弊社では対象品目の判定から、登録検査機関の手配、表示内容の確認まで、まとめてサポートしています。何から始めればよいか分からない段階でも、お気軽にご相談ください。

対象品目の判定から、登録検査機関の手配、表示内容の確認まで、分かりやすくご案内します。
