
中国から電気製品を仕入れて日本で販売したいと考えたとき、「PSE対応済みなので問題ありません」と工場から案内された経験はありませんか?
一見すると安心できそうですが、その言葉だけを信じて輸入を進めてしまうと、販売直前になって「PSEマークの表示が認められない」「Amazonの審査で書類が通らない」「ロット変更で再確認が必要になった」といったトラブルにつながることがあります。
実際、中国輸入で起こるPSE関連の問題は、「制度が難しい」ことよりも、日本と中国でPSEに対する認識が異なることが原因になるケースが少なくありません。
この記事では、中国輸入でPSE対応が必要になるケースから、中国工場とのやり取りで注意したいポイント、ロット変更やECモール審査で見落としやすい点まで、初心者にも分かりやすく解説します。
- 中国輸入でPSE対応が必要になるケース
- 工場の「PSE対応済み」をそのまま信用してはいけない理由
- ロットごとの仕様変更で起こるリスク
- 中国メーカーとやり取りするときに確認しておきたい項目
中国から仕入れる商品もPSEが必要か

中国から商品を仕入れる場合でも、すべての電気製品にPSEが必要になるわけではありません。
しかし、「中国製だから不要」「工場が対応してくれるから大丈夫」と考えてしまうと、輸入後に販売できないことが判明するケースがあります。
まず確認したいのは、次の2つです。
・その製品がPSEの対象品目なのか
・自分がPSE上どのような立場になるのか
この2点を最初に整理しておくことで、その後の手続きや工場とのやり取りがスムーズになります。
商品名ではなく「電気用品名」で対象かどうかを確認する
PSEの対象になるかどうかは、ECサイトの商品名や工場のカタログ名では判断できません。
電気用品安全法では、それぞれの製品に「電気用品名」が定められており、この名称を基準に対象かどうかを判断します。
例えば、中国の工場では「LED Driver」と記載されていても、日本では「電源装置」という電気用品名に分類され、PSEの対象になる場合があります。
逆に、商品名だけを見るとPSEが必要そうに見えても、実際には対象外というケースもあります。
そのため、Alibabaや1688、中国メーカーの商品ページだけを見て判断するのではなく、「この製品は日本の制度では何という電気用品名になるのか」を確認することが重要です。
対象品目は、経済産業省が公開している一覧で確認できます。
→ 電気用品名の確認はこちら(経済産業省)

「販売するだけ」でも輸入者として責任を負う
「自社で製造しているわけではないから、PSEは工場が対応するもの」と考えている方も少なくありません。
しかし、中国から商品を輸入して日本で販売する場合、日本の事業者は電気用品安全法上の「輸入事業者」となり、PSEに関するさまざまな義務を負います。
例えば、対象製品であれば、届出や適合確認、自主検査、表示などが必要になります。
つまり、工場がどれだけ協力してくれたとしても、「日本で販売する事業者」としての責任まで工場が代わりに負うことはできません。
「販売するだけだから関係ない」と考えるのではなく、自分がどの役割を担うのかを最初に理解しておくことが、トラブルを防ぐ第一歩です。
PSE取得までの全体的な流れについては、以下の記事で詳しく紹介しています。

中国工場の「PSE取得済み」はどこまで信用できる?
中国メーカーや工場へ問い合わせると、「PSE対応済みです」「PSEマークを付けて出荷できます」と案内されることがあります。
しかし、この言葉だけで安心してしまうのはおすすめできません。
もちろん、適切にPSE対応を行っている工場もありますが、「PSE対応済み」の意味は工場によって異なります。中には「試験を受けたことがある」「以前日本へ輸出したことがある」という意味で説明しているケースもあります。
そのため、日本で販売できる状態になっているかどうかは、輸入者自身が確認することが大切です。
「PSE対応済み」が何を意味しているのか確認する
工場が「PSE対応済み」と説明していても、その内容はさまざまです。
例えば、次のようなケースがあります。
| 工場の説明 | 実際に確認したいこと |
| PSE取得済み | 誰の名義で届出をしているのか |
| PSEマークを付けて出荷できる | ラベルの表示内容は日本向けになっているか |
| 試験済み | 試験レポートの型番・仕様は販売する製品と一致しているか |
| 日本へ輸出実績がある | 今回の製品・仕様にもそのまま適用できるのか |
このように、一言で「PSE対応済み」といっても、実際の状況は大きく異なります。
大切なのは、「何を根拠にPSE対応済みと言っているのか」を具体的に確認することです。
PSEマークを表示できるのは誰でも良いわけではない
PSEマークは、好きなタイミングで自由に付けられるマークではありません。
電気用品安全法では、必要な手続きを行った届出事業者が、法律で定められた条件を満たした製品に表示することになっています。
そのため、中国工場が独自の判断でPSEマークを印字したり、シールを貼ったりしている場合は注意が必要です。
例えば、次のようなケースは実際によく見られます。
・日本の輸入事業者名が表示されていない
・PSEマークの種類(丸形・菱形)が製品と一致していない
・必要な表示項目が不足している
・過去の別製品で使用したラベルを流用している
一見すると問題なく見えても、日本で販売するための表示要件を満たしていない場合があります。
「PSEマークが付いている=販売できる」とは限らないことを理解しておきましょう。
工場へ確認しておきたい5つのポイント
工場とのやり取りでは、「PSE対応していますか?」だけで終わらせないことが重要です。
少なくとも、次の項目は事前に確認しておくと安心です。
| 確認項目 | 確認する理由 |
| 届出事業者名 | 誰の名義で日本市場向けに対応しているか確認するため |
| ラベルデータ | 表示内容に不足や誤りがないか確認するため |
| 試験レポート | 型番や仕様が販売する製品と一致しているか確認するため |
| ACアダプターなど付属品 | 本体だけでなく付属品も対象になっていないか確認するため |
| 自主検査記録 | 必要な検査が実施されているか確認するため |
特にラベルは、完成品の写真だけでは細かな表示内容が確認できないことがあります。
可能であれば、写真ではなく印刷前のラベルデータや表示内容を共有してもらうと、事前に誤りへ気付きやすくなります。
工場任せにせず、日本側でも確認することが大切
中国メーカーは世界中へ製品を輸出しているため、日本以外の安全規格には詳しくても、日本のPSE制度については十分に把握していない場合があります。
そのため、工場が悪意を持っているというより、「日本向けとしては表示が不足していた」「制度の認識が違っていた」というケースが少なくありません。
だからこそ、工場の説明をそのまま受け入れるのではなく、「届出は誰の名義か」「表示内容は正しいか」「提出書類と現物が一致しているか」を日本側でも確認することが大切です。
表示方法やラベルに必要な記載事項については、以下の記事で詳しく紹介しています。

工場がPSEマークを付けていても注意すべき理由
中国メーカーから「PSEマーク付きで出荷できます」と案内されると、「そのまま日本で販売できる」と思ってしまうかもしれません。
しかし、PSEマークは付いていればよいというものではありません。
日本では、製品の種類によって表示できるPSEマークや必要な手続きが異なります。まずは、PSEマークには2種類あることを押さえておきましょう。

図のとおり、PSEマークは「丸形PSE」と「菱形PSE」の2種類に分かれています。
見た目の違いだけではなく、対象となる製品や必要な検査・手続きも異なるため、自社の製品に合ったPSEマークであることが重要です。
「PSEマークが付いている」という事実だけで、日本で販売できるとは判断できません。
偽物のレポートが多い
仕入先から「PSE取得済みです」「日本向け対応済みです」「レポートがあります」と言われ、英語のレポートや合格証のような書類を渡されると、多くの人はそれで安心してしまいます。
しかし、実務で本当に多いのは、見た目が整った“それっぽい書類”です。
英語で書かれている、JISCやJPNDの表記がある、部品表も付いている。そういう書類ほど、一見するとしっかりして見えます。ですが、見るべきなのは書類の有無ではなく、その書類が本当に日本で販売するための根拠として通用するかどうかです。
特に特定電気用品以外の電気用品では、こうした“それっぽい書類”をそのまま信じてしまい、あとから問題になるケースが少なくありません。

「PSEマーク付き」と言われたら確認したいポイント
工場から「PSE対応済みです」と説明を受けた場合でも、次の5項目は販売前に確認しておきましょう。
| 確認項目 | 確認する理由 |
| PSEマークの種類 | 製品に合った丸形・菱形になっているか確認するため |
| 届出事業者名 | 日本で販売する事業者名が正しく表示されているか確認するため |
| 定格表示 | 電圧・消費電力など必要事項が記載されているか確認するため |
| 試験レポート | 型番や仕様が販売する製品と一致しているか確認するため |
| 付属品 | ACアダプターなども対象になっていないか確認するため |
「PSEマークが付いているか」ではなく、「表示内容が適切か」「必要な手続きが行われているか」を確認することが、中国輸入でトラブルを防ぐポイントです。
製品の仕入れ時に注意すること
「前回と同じ型番で発注したのに、仕様が変わっていた。」
これは、中国輸入では決して珍しいことではありません。
見た目や型番が同じでも、内部部品や付属品が変更されているケースがあり、その変更内容によっては、これまでの試験結果やPSE対応をそのまま使えなくなる可能性があります。
そのため、一度PSE対応が完了した製品でも、「同じ型番だから大丈夫」と考えるのは避けたほうがよいでしょう。
見た目が同じでも中身が変わっていることがある
中国メーカーでは、コストや部品調達の都合で、事前の連絡なく部品が変更されることがあります。
例えば、次のような変更は比較的よく見られます。
・コンデンサや基板など内部部品の変更
・ACアダプターのメーカーや型番の変更
・電源ケーブルやプラグの変更
・製造工場や製造ラインの変更
こうした変更は外観からは分かりにくく、型番もそのまま使われることがあります。
しかし、PSEでは「試験を行った製品」と「実際に販売する製品」が同一であることが重要です。
中身が変わっていれば、改めて確認が必要になる場合があります。
仕様変更を防ぐには工場との取り決めが重要
「知らないうちに仕様が変わっていた」という事態を防ぐためには、工場との取り決めをあらかじめ明確にしておくことが大切です。
例えば、発注書や契約書に「仕様変更がある場合は事前に通知すること」と記載しておくことで、変更後にトラブルへ発展するリスクを減らせます。
変更通知条項の例
サプライヤーは、部品・電源・製造工場・構造に変更が生じる場合、変更前に書面で発注者へ通知するものとする。発注者の承認を得るまでは、変更後の製品を出荷しないこと。
このような一文を加えておくだけでも、「気付かないまま仕様変更されていた」というリスクを抑えやすくなります。
ロットごとに確認したいチェックポイント
製品を受け入れる際は、毎回同じ製品だと思い込まず、次の項目を確認することをおすすめします。
| 確認項目 | チェックする内容 |
| 型番 | 発注内容と一致しているか |
| 定格表示 | 電圧・周波数・消費電力などに変更がないか |
| ACアダプター | メーカー・型番・仕様が前回と同じか |
| ラベル表示 | PSEマークや届出事業者名に変更がないか |
| 取扱説明書・外箱 | 型番や仕様が統一されているか |
毎ロット確認するのは手間に感じるかもしれません。
しかし、一度販売した製品に仕様違いが見つかると、販売停止や回収など大きな影響につながる可能性があります。
「前回と同じだから大丈夫」ではなく、「今回も同じか確認する」という意識を持つことが、中国輸入では重要です。
PSE不備とAmazonの審査について
「PSEマークも付いているし、試験レポートもある。それなのにAmazonの審査で止まってしまった。」
このようなケースは、中国輸入では珍しくありません。
多くの場合、問題になるのは書類があるかどうかではなく、「書類・製品・表示内容が一致しているか」です。
Amazonでは、提出された資料と実際に販売する製品との整合性が確認されます。そのため、どれか一つでも内容が一致していないと、追加資料の提出や出品停止につながることがあります。
Amazonが確認しているのは「整合性」
例えば、次のようなケースでは審査が通らないことがあります。
・試験レポートの型番と販売する製品の型番が異なる
・ラベルに記載された届出事業者名と提出書類の名義が一致しない
・商品画像に写っている表示内容と提出資料が異なる
・ACアダプターの資料だけ不足している
・ブランド名・工場名・輸入事業者名が混在し、届出事業者が判別できない
どれも「少し違うだけ」と思うかもしれませんが、Amazonではこれらの違いが審査に影響する場合があります。
出品前に確認しておきたいチェックリスト
Amazonへ出品する前に、次の内容を確認しておくと安心です。
| 確認項目 | チェックポイント |
| 型番 | 試験レポート・ラベル・商品ページですべて一致しているか |
| 届出事業者名 | 書類と製品表示で同じ名称になっているか |
| PSEマーク | 製品区分に合った種類(丸形・菱形)が表示されているか |
| 商品画像 | 実際に販売する製品のラベルが確認できるか |
| 付属品 | ACアダプターなど付属品の資料も準備できているか |
これらを事前に確認することで、審査時の差し戻しや追加提出のリスクを減らしやすくなります。
「書類がある」だけでは十分ではありません
中国メーカーから試験レポートや各種資料を受け取ると、「これで準備は完了」と考えてしまうことがあります。
その資料が今回販売する製品のものかどうかを確認することが重要です。
例えば、以前製造したロットの試験レポートをそのまま渡されていたり、仕様変更後の製品なのに古い資料を使用していたりするケースもあります。
提出書類だけを見るのではなく、実際の製品やラベルと照らし合わせながら確認することが大切です。

出品前の最終確認がトラブル防止につながる
Amazonの審査では、「PSEマークが付いているか」だけではなく、「販売する製品が提出資料どおりであるか」が確認されます。
出品前には、次の3つが一致しているかを必ず確認しましょう。
・販売する製品
・製品に表示されたラベル
・提出する試験レポートや届出書類
この3つの整合性を確認しておくことで、中国輸入で起こりやすいPSE関連のトラブルを未然に防ぎやすくなります。
中国輸入でPSE対応を進める際のよくある質問
- 中国工場が「PSE対応済み」と言っています。そのまま信じても大丈夫ですか?
-
そのまま判断するのはおすすめできません。
「PSE対応済み」の意味は工場によって異なり、試験を実施しただけのケースや、過去に日本向けへ出荷した実績を指している場合もあります。届出事業者名やラベル表示、試験レポートの内容が販売する製品と一致しているかを確認しましょう。 - 本体はPSE対象外でも、ACアダプターだけPSEが必要になることはありますか?
-
あります。
本体が対象外でも、付属するACアダプターが特定電気用品(菱形PSE)の対象となるケースがあります。本体だけで判断せず、付属品も含めて対象かどうかを確認することが大切です。 - 同じ型番なら、一度PSE対応すればずっと販売できますか?
-
必ずしもそうとは限りません。
型番が同じでも、内部部品やACアダプター、製造工場などが変更されることがあります。
仕様変更があると、試験結果や表示内容の確認が必要になる場合もあるため、ロットごとの確認をおすすめします。
工場の「PSE対応済み」を信じる前に、この5点を確認しましょう
中国輸入でPSE対応に苦労する理由は、「制度が難しいから」だけではありません。
日本の電気用品安全法と、中国メーカーの認識に違いがあることが、多くのトラブルにつながっています。
特に、次の5つは販売前に確認しておきたいポイントです。
・製品がPSE対象かどうかを「電気用品名」で確認する
・工場の「PSE対応済み」という説明だけで判断しない
・PSEマークの種類や表示内容が正しいか確認する
・ロットごとの仕様変更がないか確認する
・書類・ラベル・販売する製品の内容が一致しているか確認する
これらを事前に確認することで、中国輸入で起こりやすい販売停止や書類不備などのリスクを減らしやすくなります。
「自社の製品がPSE対象か分からない」「工場から届いた資料で販売できるか判断できない」といった場合は、早い段階で確認しておくことが重要です。
弊社では、製品区分の確認から必要書類の整理、中国メーカーとのやり取り、PSEラベルの作成まで、一貫してサポートしています。
「何から始めればよいか分からない」という段階でも、お気軽にご相談ください。

初めての中国輸入でも安心してPSE対応を進められます
製品がPSE対象かどうかの確認から、中国メーカーとのやり取り、必要書類の整理、表示内容の確認までサポートしています。
中国輸入でPSE対応に不安がある方は、お気軽に日本PSEマーク取得代行センターへご相談ください。
何を確認すべきか分からない段階でも大丈夫です。
製品確認から必要書類、工場とのやり取りまで、分かりやすくご案内します。

