
「ACアダプターやUSB充電器を製造・輸入・販売したいけど、PSE対象になるの?」と疑問に思っていませんか?
結論から言うと、民生用のACアダプター・USB充電器の多くは「直流電源装置」として特定電気用品(菱形PSE)の対象になります。ケーブルやコンセントと同様、登録検査機関による第三者検査が必要な、より厳格な区分です。
この記事では、アダプタがPSE対象となる条件、対象から除外されるケース、事業者に課される義務まで、公的資料をもとに解説します。
・アダプタ(ACアダプター・USB充電器)がPSE対象になる条件
・対象から除外される用途・構造
・アダプタ本体と、アダプタで動く機器本体の扱いの違い
・事業者に課される義務と表示のルール
ACアダプタがPSE対象になる条件について

電気用品安全法では、ACアダプターやUSB充電器(AC接続タイプ)は「直流電源装置」という電気用品名で、特定電気用品(116品目のうちの一つ)に分類されています。対象となるのは、交流電源装置と兼用のものを含み、定格容量が1kVA以下のものです。
電気用品安全法が対象とするのは、基本的に交流100V〜300Vの商用電源から電力を取る電気用品です。
ACアダプターは、この商用電源をDC(直流)に変換する役割を担うため、対象品目に含まれています。
ACアダプタがPSE対象から除外されるケースについて

経済産業省の品目一覧では、直流電源装置について次のように定められています。
直流電源装置(交流電源装置と兼用のものを含み、定格容量が1kVA以下のものに限り、無線通信機の試験用のものその他の特殊な構造のものを除く。)
つまり、無線通信機の試験用のものや、その他の特殊な構造のものは対象から除外されます。
経済産業省が公表している対象・非対象の解釈例一覧にも、「電気技術者が使用する実験・検査用直流電源装置」「無線通信機用電源装置」「機器組込用直流電源ユニット」「監視カメラ用電源装置」など、除外や個別判断が必要なケースが複数挙げられています。
民生用の一般的なACアダプター・USB充電器以外の用途(実験用、産業機器への組み込み用など)については、自己判断せず、これらの解釈例や経済産業省の窓口で確認することをおすすめします。
PSE対象かどうかの基本的な調べ方については、以下の記事もあわせてご覧ください。

ACアダプタ本体とアダプタで動く機器本体の扱いの違い

アダプタのPSE判断で見落としやすいのが、「アダプタ本体」と「アダプタで動く機器本体」は別々に考える必要があるという点です。
ACアダプターを接続して動作するノートPCやガジェット類の機器本体は、直接AC電源(交流)に接続されるわけではないため、それ自体は電気用品安全法の対象になりません。
一方で、AC電源からDC(直流)へ変換する役割を担う「アダプタ本体」の方は、直流電源装置として対象になります。
つまり、「機器本体にPSEマークが見当たらないのは正常」というケースもあれば、逆に「アダプタ側にPSEマークの表示が必要」というケースもあるため、本体とアダプタを混同しないよう注意しましょう。
ACアダプタの製造・輸入事業者に課される義務について

アダプタ(直流電源装置)を製造・輸入する事業者には、以下の義務があります。
| 義務 | 内容 |
| 事業届出 | 事業開始から30日以内に届出(法3条・5条) |
| 技術基準への適合確認 | 直流電源装置の技術基準に適合していることを確認(法8条1項) |
| 登録検査機関による検査 | 登録検査機関の検査を受け、適合性証明書の交付を受けること(法9条) |
| 検査記録の保存 | 検査記録を一定期間保存すること |
ケーブル・コンセントと同様、特定電気用品に分類されるため、登録検査機関による検査が法律上必須です。事業者自身の判断だけで菱形PSEマークを表示することはできません。
ACアダプタに表示すべき事項
特定電気用品には、菱形のPSEマークに加えて、届出事業者名、定格電圧・定格容量などの表示が必要です。表示は本体の見やすい箇所に、容易に消えない方法で行います。
輸入品の場合、海外工場側で表示を行うケースもありますが、届出事業者名が正しく表示されているか、日本側でも必ず確認しましょう。
表示方法の詳細については、以下の記事もあわせてご覧ください。

ACアダプタのよくある勘違い

なお、USBケーブル単体はPSE対象に含まれません。ケーブルそのものはAC電源をDC電源へ変換する機能を持たないため、対象となるのはあくまでACアダプター本体(直流電源装置)の部分です。
また、海外製のACアダプターであっても、日本国内で販売・使用する場合はPSEの対象になります。「海外製だから関係ない」と誤解せず、国内で流通させる時点で届出・表示義務が生じる点に注意しましょう。
マルチタップやコンセントにUSBポートを設けた製品や、延長コードセットにACアダプターを内蔵した製品なども流通していますが、こうした複合製品は、それぞれの構成部分ごとに対象品目を確認する必要があります。
たとえばUSBポート付きマルチタップの場合、USBポート部分(直流電源装置)はPSE対象になりますが、コンセント部分はマルチタップとしての対象品目の基準に従うため、製品全体が一律に同じ区分になるわけではありません。
経済産業省の解釈例でも、こうした複合製品は個別の判断が必要なケースとして扱われています。
「延長コードセットだから延長コードセットの基準だけ満たせばいい」「USBポート付きだから直流電源装置の基準だけでいい」と思い込まず、製品の構成全体を確認することが大切です。
中国メーカーとのやり取りで注意したいポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。

アダプタで実際に起きた事故事例
独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)には、ACアダプターに関する事故・リコール事例が報告されています。
事故事例①:ノートパソコン用ACアダプターの発火
ノートパソコンを使用中、ACアダプターを焼損する火災が発生しました。
ACアダプターのDCプラグ樹脂に使用されていた難燃剤(赤リン)の耐水性に不具合があり、端子間が短絡して異常発熱が生じ、出火に至ったものと推定されています。
輸入事業者はリコールを実施していましたが、対象製品の交換前に事故が発生していました。
リコール事例①:ヤマハ株式会社(2024年1月)
「ACアダプター(アナログミキサー用)」がリコール対象となりました(2024年1月15日発表)。
リコール事例②:株式会社ドウシシャ(2024年11月)
「ACアダプター(スピーカー用)」がリコール対象となりました(2024年11月22日発表)。
ACアダプターは内部部品の不具合や経年劣化により発火に至ることがあります。
リコール情報は、NITEや経済産業省、消費者庁のWebサイトで確認できます。お手持ちの製品がリコール対象になっていないか、定期的に確認することをおすすめします。
アダプタのPSEに関するよくある質問
アダプタのPSE対応について、よく寄せられる質問をまとめました。
- USB Type-C対応の充電器も同じ扱いになりますか?
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出力端子の形状(USB Type-AかType-Cか)にかかわらず、AC電源からDC電源へ変換する機能を持つ製品であれば、直流電源装置として特定電気用品に分類されます。
- 実験用や産業機器組み込み用の電源装置も対象になりますか?
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用途によっては対象から除外される場合があります。経済産業省の解釈例一覧に個別のケースが掲載されているため、自己判断せず確認することをおすすめします。
- マルチタップにUSBポートが付いた製品は、マルチタップとアダプター、両方の検査が必要ですか?
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複合製品は構成部分ごとに対象品目を確認する必要があります。個別の製品構成については、経済産業省の解釈例や登録検査機関に確認することをおすすめします。
まとめ
ACアダプターやUSB充電器の多くは「直流電源装置」として特定電気用品(菱形PSE)の対象になり、ケーブル・コンセントと同様、登録検査機関による検査が法律上必須です。一方で、実験用・産業機器組み込み用など除外されるケースもあり、複合製品では構成部分ごとの確認も必要になります。
また、アダプタ本体と、アダプタで動く機器本体は別々に考える必要があります。自己判断で進めず、迷った場合は登録検査機関や経済産業省に確認することをおすすめします。
なお、弊社では対象範囲の判定から、登録検査機関の手配、表示内容の確認まで、まとめてサポートしています。何から始めればよいか分からない段階でも、お気軽にご相談ください。

対象範囲の判定から、登録検査機関の手配、表示内容の確認まで、分かりやすくご案内します。
