
「中国工場からPSE取得済みと言われたけれど、そのまま日本で販売して本当に大丈夫なのか」「PSE対応は何から始めればいいのか分からない」と悩んでいませんか。電化製品を日本で販売する場合、電気用品安全法に基づくPSE対応が必要になることがあります。しかし、PSEは単にマークを表示すればよい制度ではなく、対象製品の確認、事業者区分の整理、事業届出、技術基準への適合確認、必要に応じた検査、自主検査、表示といった一連の手続きを順番に進める必要があります。ここを曖昧なまま進めてしまうと、AmazonなどのECモールで出品停止になったり、販売後にPSE対応の不備が発覚して回収対応を求められたりするケースも少なくありません。特に中国輸入やOEM製品では、工場から渡されたテストレポートが日本のPSE制度に対応しておらず、途中でやり直しになることもよくあります。
わたしたち、日本PSEマーク取得代行センターは、丸形PSE認証に特化した取得代行業者として、これまで500件以上の支援実績があります。数多くの案件を通じて、どこで時間と費用がかかりやすいのか、どうすれば無駄を減らして進められるのかのナレッジを蓄積してきました。
この記事では、PSEマーク取得の流れを、対象確認から表示までの8ステップに分けて分かりやすく解説します。PSE制度の基本的な考え方から、実務でつまずきやすいポイントまで整理しているため、これから電化製品を販売しようとしている方でも、どの順番で何を確認すればよいのかを理解できるようになります。
結論として、PSE取得は「何をやるか」よりも「どの順番で進めるか」が重要です。最初に対象判定と必要資料の整理を正しく行うことが、手戻りや無駄なコストを防ぎ、最短で進めるための近道になります。
- これから電気製品の輸入販売を始めたいが、何から手をつければいいかわからない方
- 「ひし形」と「丸形」で手続きがどう違うのか、具体的に知りたい方
- 工場の「PSE取得済み」を信じていいのか判断できず、困っている方
- 社内で法規制対応を進めるために、正確な情報の裏付けが必要な担当者様
- 対象品目の見極めから表示までの「正しい手順(全8ステップ)」が明確になる
- 「認証」ではなく「自己確認」というPSEの本質と責任の所在が理解できる
- ACアダプターの罠や表示ミスなど、よくある「落とし穴」を回避できる
- 自社が「製造・輸入」か「販売のみ」かで異なる義務を正しく把握できる
1. まず前提:PSEは「認証」?「申請」?

多くの事業者が「PSE認証を取得したい」と考えがちですが、PSEは厳密には国から一方的に「お墨付き(認証)」をもらうだけの制度ではありません。
PSE(電気用品安全法)は、事業者が自らの責任において「この製品は国の定めた技術基準に適合しています」と確認し、その証としてマークを表示する自己確認・自己宣言の制度です。「申請して許可を待つ」という受動的なものではなく、事業者が主体となって安全性を証明するプロセスであるとまずは理解しましょう。
PSEは表示であり、必要な手続を満たした上で表示できる
「PSEを取得する」という表現がよく使われますが、正しくは「必要な手続きを経て、PSEマークを製品に表示”する」ということです。
経済産業省のフローでは、事業者の立場によって以下の通り役割が整理されています。
- 製造・輸入事業者: 「事業の届出」「技術基準への適合確認」「自主検査」など、一連の義務を全て履行した上で、初めて製品にPSEマークを表示できます。
- 販売事業者(小売のみ): 検査等の義務はありませんが、販売する製品に正しくPSEマークが表示されているかを確認する「表示確認」の義務があります。
つまり、自社が「マークを表示する側(製造・輸入)」なのか、「表示を確認して売る側(販売)」なのかによって、負うべき責任と手続きが大きく異なります。
2. 電気用品名の確認
ここがPSE対応における最重要ステップです。最初の区分けで判断を誤ると、その後の検査や届出がすべて無駄になる恐れがあるため、慎重な確認が必要です。
現在、PSE法の対象となるのは合計457品目です。これらは経済産業省の法令により、明確に以下の2つに区分されています。
- 特定電気用品(116品目): <菱形PSE> 国が「特定電気用品」として指定したリストに含まれるもの(ACアダプター、電線など)。
- 特定電気用品以外の電気用品(341品目): <丸形PSE> 上記以外の電気用品(一般的な家電製品など)。
必ず経済産業省の『電気用品安全法 法令業務実施手引書』等で、リストのどこに該当するかを確認してください。
判断のコツ:「商品名」ではなく「電気用品名」で探す
最大の落とし穴は、「一般的な商品名と、法律上の『電気用品名』は必ずしも一致しない」という点です。
例えば、経済産業省の公式見解でも示されている通り、「ACアダプターのみで作動する機器」の場合、電源となるACアダプター自体は「直流電源装置(特定)」として規制対象ですが、機器本体はPSEの対象外(非対象となるケースが多々あります。
「自分の製品が対象かわからない」という場合は、経産省が公開している「電気用品の範囲等の解釈について」や「対象・非対象の解釈例」を必ず一次情報として参照しましょう。ここを確認することで、自己判断の精度が大幅に上がります。
3. 行為内容の確認

対象品目であることがわかったら、次は自社が「製造・輸入事業者」なのか、単なる「販売事業者」なのかを明確にします。経済産業省のフローにおいて、この2つは義務の重さが全く異なるためです。
A. 製造・輸入を行う場合(義務が重い)
自社ブランドでの国内製造や、海外工場からの輸入(OEM含む)を行う事業者が該当します。 この場合、製品にPSEマークを表示する権限と責任を持つため、以下のプロセスを全て履行する必要があります。
- 事業の届出: 経済産業局への届け出
- 基準適合確認: 技術基準への適合を証明
- 適合性検査: 登録検査機関による試験(※特定電気用品の場合)
- 自主検査: 出荷前の全数検査および記録保存
- 表示: 上記を満たした上でマークを表示
B. 販売のみを行う場合(表示確認が必須)
既に国内の輸入元やメーカーがPSE手続きを完了させた製品を仕入れて、小売や転売を行うケースです。
この場合、検査等の重い義務はありませんが、「販売する製品にPSEマークが正しく表示されているか」を確認する義務があります。「マークがない製品」や「表示内容が不十分な製品」を販売することは法律違反(販売停止命令の対象)となるため、仕入れ時のチェックが生命線となります。
4. 事業の届出(製造・輸入事業者向け)
対象品目を製造または輸入する場合、最初に行う法的手続きが「電気用品製造(輸入)事業届出書」の提出です。
期限:事業開始から30日以内
法律により、「事業開始の日から30日以内」に届け出ることが義務付けられています。 「とりあえず輸入してから考える」のではなく、輸入(通関)や製造をビジネスとして開始する時点で、速やかに管轄の経済産業局等へ届け出る必要があります。
申請方法:現在は「電子申請」が標準的
以前は窓口への持参や郵送が一般的でしたが、現在は利便性向上のため、経済産業省の電子申請システム「保安ネット」の利用が推奨されています。
【電子申請の重要ポイント】
- システム名: 保安ネット(産業保安・製品安全関連法令電子申請・届出システム)
- 必須ID: gBizIDプライム
- 注意点: 「gBizID」の発行には審査が必要で、数週間かかる場合があります。製品が届いているのにIDがなくて申請できない、という事態を防ぐため、ID取得だけは最優先で進めてください。
具体的な操作マニュアルや区分の書き方は、経済産業省の「保安ネット」関連ページを確認するか、管轄の産業保安監督部へ直接お問い合わせください。
5. 技術基準への適合確認(ここが品質保証の本丸)
事業の届出が受理されただけでは、まだ製品を販売することはできません。次に、その製品が日本の「電気用品の技術上の基準」に適合していることを確認し、その証明書(試験成績書等)を保管する義務があります。
経済産業省のフロー図でも「基準適合確認」という独立した工程として明記されており、ここがPSEにおける品質保証の本丸です。
「基準適合」に含まれる範囲は広い
「基準適合確認」とは、単に通電して動くかを確認することではありません。省令(別表第八など)で定められた以下の項目すべてを試験・確認する必要があります。
- 構造・寸法: 絶縁距離、開口部の大きさなど
- 使用材料: 難燃性材料の使用、耐トラッキング性など
- 性能試験: 異常時の温度上昇、絶縁耐力など
- 表示・取扱説明書: 警告文等の日本語記載、定格表示など
海外規格(CE/UL)との違いに注意
「海外の試験機関でCEマークを取っているから大丈夫」という考えは危険です。 日本の技術基準(PSE)は、日本の電源事情(100V)や独自の安全要求を含んでいるため、海外規格とは試験条件や合格ラインが異なります。
特に「取扱説明書の警告文(日本語)」や「銘板の表示内容」も技術基準の一部です。ハードウェアの試験データが完璧でも、「取説に必須の日本語警告がない」というだけで技術基準不適合(法違反)となります。「モノ」と「ドキュメント」の両方が日本の基準を満たしていることを確認してください。
6. (特定電気用品のみ)適合性検査(登録検査機関)
Step 2で「特定電気用品(116品目・菱形PSE)」に該当した製品は、自社での確認に加え、国が登録した第三者機関による「適合性検査」を受けることが法律で義務付けられています。
経済産業省のフロー図でも、特定電気用品に限りこの工程が追加されており、いわば「プロによるダブルチェック」を受けるプロセスです。
この検査には、製品そのものの試験(サンプル検査)だけでなく、製造工場の設備や品質管理体制の確認(工場検査)も含まれます。これらに合格して初めて、PSE表示に必要な「適合証明書」が発行されます。
登録検査機関の探し方
検査機関と言えば「JET(電気安全環境研究所)」が有名ですが、製品カテゴリーによって対応可能な機関は異なります(UL、TUVなどの外資系機関も含む)。
必ず経済産業省の公式サイトにある「登録検査機関一覧」を参照し、自社の製品区分(「交流用電気機械器具」など)に対応している機関を選定・依頼してください。

7. 自主検査(全員が詰まりやすい:記録と保存)
PSE対応の最終関門が、届出事業者に課せられた「自主検査」です。これはサンプル試験ではなく、製造・輸入する製品全数(すべての個体)に対して行う義務があります。
経済産業省のフローでも、特定・特定以外に関わらず、出荷前の検査実施と記録保存が必須条件として定められています。
検査方式の違い
- 特定電気用品: 外観、通電検査に加え、絶縁耐力検査などが全数に必須となります。
- 特定以外の電気用品: 基本的に外観検査と機能確認ですが、品目によっては絶縁性能の確認も求められます。
製品ごとにすべて異なるため、具体的な検査項目は、経済産業省の「検査の方式」に関する規定を確認してください。
検査記録の必須項目(保存は3年間)
法的な様式は決まっていませんが(自由様式)、以下の事項を網羅した記録を作成し、検査日から3年間保存しなければなりません。Excel等で管理しても問題ありません。
- 品名・型式区分
- 構造・材質・性能の概要
- 検査年月日・場所
- 検査を行った者
- 検査数量
- 検査の方法
- 検査の結果
外部委託も可能
輸入事業者の場合、国内での全数検査が現実的でないことがあります。その場合、海外工場や第三者機関に検査を委託し、その記録(テストレポート等)を取り寄せて自社で保管することも認められています。
8. 表示(PSEマーク+事業者名+定格等)
基準適合確認、自主検査など、これまでの全工程をクリアして初めて、製品にPSEマークを表示する権利(および義務)が発生します。
表示すべき必須項目
経済産業省のガイドラインに基づき、製品本体の見やすい場所に、以下の情報を消えない方法で表示する必要があります。これも7,製品よって表示義務はすべて異なります。
- PSE記号: 特定電気用品は「菱形」、それ以外は「丸形」。
- 届出事業者名: 事業届出を行った会社名(※単なるブランド名や海外工場名はNG)。
- 定格: 電圧、電流、周波数など。
- 登録検査機関名(菱形のみ): 適合性検査を行った機関の名称またはロゴ。
販売者が確認すべきポイント
自ら製造・輸入を行わない「販売事業者(小売店など)」にも、法的義務があります。それは「正しい表示が付されていることを確認すること」です。
仕入れやOEM発注の際、単に「PSE取得済み」という言葉を鵜呑みにせず、現物に上記の4項目(特に届出事業者名)が正しく記載されているかを目視確認してください。表示がない、または不備がある製品を販売することは、販売停止命令の対象となります。
9. よくある落とし穴
PSE対応は「知らなかった」では済まされない法的義務ですが、実務の現場では特定のポイントでのミスが多発しています。ここでは、多くの事業者が陥りやすい「4つの落とし穴」を解説します。これらを事前に把握しておくことで、無駄な手戻りや販売停止リスクを回避できます。
① 商品名だけで「対象外」と判断してしまう(商品名≠電気用品名)
最も多いミスが、一般的な「商品名」と法律上の「電気用品名」の不一致による誤判定です。
例えば、「アロマディフューザー」という名称はリストに存在しませんが、構造や用途によっては「電気加湿器」として規制対象になります。 リストに名前がないからといって安易に「対象外だ」と判断するのは危険です。必ず経済産業省の「電気用品の範囲等の解釈について」や「対象・非対象の解釈例」を確認し、類似品目がどの「電気用品名」に分類されているか裏付けを取りましょう。
② 「本体は対象外でも付属品が対象」のケース
特に注意が必要なのが、ACアダプターを使用する機器です。 近年多いUSB駆動の製品や、DC(直流)で動く家電製品の場合、「本体はPSE対象外だが、付属のACアダプターは特定電気用品(菱形PSE)として規制対象」というケースが非常に多く存在します。
「本体が対象外だから全部OK」と勘違いして輸入すると、アダプター部分で法違反となります。付属品(電源コードやアダプター)単体でのPSE適合が必要かどうか、必ず切り分けて確認してください。
③ 自主検査は「やったつもり」で記録がない
「工場で検査しているから大丈夫」と考えていても、その「検査記録」が手元になければ法律違反です。 PSE法では、「検査を実施すること」と同等に「検査記録を作成し、3年間保存すること」が義務付けられています。
万が一、経済産業省の立入検査が入った際、「検査はやりましたが、記録は捨てました(または工場にあります)」という言い訳は通用しません。必ず自社(届出事業者)の責任で記録を管理・保存できる体制を整えましょう。
④ 表示(ラベル・取扱説明書)の記載ミス
苦労して適合確認を終えても、製品本体や取扱説明書の表示内容に不備があれば販売できません。
- 本体ラベルの不備:
- 事業者名の誤り: 海外工場の名前やブランド名のみを表示している(※必ず日本の「届出事業者名」である必要があります)。
- 消えやすい印字: 摩擦で消えるインクや剥がれやすいシールはNGです。
- 取扱説明書の不備(重要):
- 警告文の欠落: 技術基準(別表第八など)で定められた「日本語での警告・注意書き」が記載されていないと不適合になります。「英語マニュアルしかない」「警告文が翻訳されていない」状態では販売できません。
まとめ
PSE(電気用品安全法)は、国からの認証を待つのではなく、事業者が自ら安全性を証明する「自己確認・自己宣言」の制度です。
手続きの第一歩は「対象品目の正確な特定」です。商品名と法律上の名称は異なる場合が多く(例:アロマ製品→電気加湿器)、ACアダプターなどの付属品のみが対象となるケースもあるため、経産省リストによる厳密な確認が不可欠です。
義務は立場によって大きく異なります。
- 製造・輸入事業者: 事業届出、技術基準への適合(製品試験に加え、取説の日本語警告や表示確認も含む)、特定電気用品(菱形PSE)の場合は第三者機関検査、そして全数自主検査と3年間の記録保存が必須です。
- 販売事業者: 製品に正しい表示(PSEマーク、届出事業者名、定格等)があるかを確認する義務があります。
「試験合格=完了」ではありません。正しい表示と記録が揃って初めて販売が可能になります。不備は販売停止等のリスクに直結するため、各工程で必ず一次情報を確認し、正確に手続きを進めましょう。

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